今回のCOVID-19(新型コロナ)感染症で、私は「ソーシャルディスタンスをあける」という表現が嫌で仕方ない。
最初から引っ掛かる。
社会的距離も心理的距離もあけてはいけないでしょ⁈
あけるのは物理的距離だけって騒いできました
最近諏訪中央病院の玉井先生の投稿を観たら、フィジカルディスタンスという表現を使っていた。
これならわかる。身体的距離・・・
後で聞いたら、WHOもフィジカルディスタンスという言葉に変えています。
どうしてこんなにこだわるんだろうと考えていました。
子どもが育つときに触れることの大切さ、
親密さの大切さ、肌から伝わる愛情や安心を大切にできる社会を守りたい。
外では身体的距離をあけたほうが良い状況が起こっても、家庭内や親密な人との間ではできるだけ接近できるようにするために、感染予防を徹底してほしい。
フッと思い出したのです。
私の看護学校の卒論のテーマがこれでした。
当時NICUに入院した赤ちゃんのお母さんたちは窓越し面会だったんです。
直接触れられない。
病棟の廊下からならまだまし。
ベランダ側に自分の子どものベッドがあれば、暑い真夏でもお母さんはそこから自分の子どもを見て、届かない声をかけ、時には涙していました。
感染予防のためでした。
お母さんたちがNICUに出入りすることで雑菌が持ち込まれるから入れない。
40年前の事です。
おかしい。
これでいいんだろうか?
卒論の相談に行った細菌・ウィルス学の先生には、「子どもを感染のリスクから守るためにお母さんががまんすることは当然の事でしょ。そんなことを研究しても・・・」と言われ、自分の想いを言葉にもできず、泣きながら帰ってきたことを覚えています。
感染予防は大切
母と子のきずなは、それ以上に大切と思っていたんですねえ。
そのころアタッチメント(愛着形成)の勉強もたくさんしました。
別の大学の公開講座にも聴講に行かせてもらいました。
本当は大切なことが、感染予防という医学の立場だけで阻害される。
わかるけど、何とかならないの?
学生として素朴な疑問でした。
数年後に、大学病院の小児科病棟に残った同級生から、
「卒論で窓越し面会の事やったよね?
いま、その面会の見直しをしているんだよ。
卒論のコピーをもらえないかなあ」と連絡がきたことがありました。
時代の流れも、カンガルーケア等々母親が触ってあげたほうが良いと、
ずいぶん面会の方法も変わりましたね。
ああ、私はずっとそのことを気にかけてきたんだなあ。
生命を衛るための感染予防と愛着形成
私の生涯のテーマ・・・
子どもが育つときの愛着形成と思っていたけど、感染予防とのバランスだったのかも
繋がっているんだなあ。
今この状況の中で、親子がどう過ごすことが、
次の時代の安心感や安定感につながるのかと考えています。
だから、外で動き回る人は絶対感染予防をして!!
そういう意味でリーフレットを作りました。